●反論のルール―相手の主張を歪めてはならない (藁人形論法)
藁人形論法の記事には新バージョンがあります。
ダミー論証(別名「わら人形論法」、「架空の論法」、「ストローマン」)とは、詭弁の一種で、相手が主張していないことを自分の都合の良いように表現しなおし、さも主張しているかのように取り上げ論破することで、相手の主張を論破したかのように見せかける手法です。別名「わら人形論法」、「架空の論法」、「ストローマン」とも呼ばれます。
ダミー論証は、「Aである」とする主張に対して「Bではない」と述べる形式の誤りです。論理的でない人は無意識にダミー論証を行うことがありますが、そういう人を見かけたら優しく教えてあげてください。
(例 Wikipediaより引用。) A氏 「私は子どもが道路で遊ぶのは危険だと思う。」 B氏 「そうは思わない、子どもが外で遊ぶのは良いことだ。A氏は子どもを一日中家に閉じ込めておけというが、果たしてそれは正しい子育てなのだろうか。」 |
A氏は子供を家に閉じ込めておけとは言っていません。B氏は架空の主張に対して反論しています。
【問題】 B氏はA氏が何と言っていると思った? A氏 「今の資本主義経済は弱者に冷たすぎる。制度を変えるべきだ。」 B氏 「A氏は共産主義を支持しているが、それには反対だ。」 空白部をマウスでドラッグしてください。 答え: (A氏が共産主義を支持すると言っていると思った。 (しかしA氏は共産主義を支持するとは言っていません。)) |
A氏の正しい返し方。
A氏 「B氏は、私が共産主義支持していると解釈されたようですが、私の考えはそうではなく、資本主義はそのままで、セーフティネットと所得分配を強化するべきだと考えています。」 |
相手の間違いを指摘したからといって、騒がないように注意しましょう。ちなみに、隠れた前提の有無を問う質問はダミー論証には含まれません。
◇ダミー論証はこんなときに使われやすい。
ダミー論証が使われやすいのはAとBがその場で議論を展開しているときではなく、Aがその場にいないときに、BがAの意見をみなに紹介して、それから反論する場合です。Bは「Aはこんなことを言っていた・・・」と説明しますが、そのときにBにとって都合の良い歪みが加えられることがあります。
◇なぜ無意識にダミー論証をしてしまうのか?
次の会話例を見てください。
A氏「実は最近仕事がうまくいってないんだ・・・。」 B氏「仕事を辞めたいんだね。」 |
この会話のように、日常生活では相手の気持ちを推察して、相手が言いたいことを先読みする習慣があります。
真偽は定かではありませんが、よく日本人は他人の気持ちを察するのが得意だと言われます。学校の国語の授業でも「作者(or登場人物)の気持ちを推察して作文しなさい」というタイプの指導をよく受けます。しかしその習慣を議論にそのまま持ち込んでしまうとダミー論証の原因となります。議論では相手が明言していない事まで推察だけで決め付けてはなりません。
大事なこと: 存在しない情報を想像して補完してはならない。
関連サイト
詭弁 - Wikipedia(ストローマン)
ストローマン - Wikipedia
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論理的な反論の仕方についてさらに深く学習したい方には、小野田博一氏の『論理的に話す方法』をお薦めします。論理の欠陥を見つける手法が、やさしい文章で詳しく解説されています。
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