第二章 論理的な反論の仕方

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●精神論 【結論に賛成だと批判的思考力が麻痺する (論理飛躍)】

人間というものは、ある意見の結論部分に賛成だと、その意見の根拠部分に対する批判的思考力が麻痺するものです。さらに、書き手は自分の意見の結論部分には賛成ですから、自分の意見の論理飛躍には非常に気が付きにくいといえます。

次の問題を解いてみてください。

小野田博一『論理的に書く方法』より引用。)
次の主張の隠れた前提は何ですか?
「性犯罪が増加している。したがってポルノの出版には規制が加えられるべきだ。」

空白部をマウスでドラッグしてください。
答え: (ポルノの出版を規制すれば性犯罪が減少する。)

この主張の結論に賛成の人は、反対の立場の人よりも、隠れた前提を見つけるために長い時間を要するか、もしくは発見することができません。さらに、「この前提は正しいのか?」と疑う力も低下します。これは結論に賛成なら根拠はどうでも良くなる現象です。

批判的思考力が麻痺する条件は他にもあります。次の問題を解いてみてください。(大学教員の日常・非日常様より引用。)

「吠える犬は弱虫だ。うちのポチはよく吠える。だから、うちのポチは弱虫だ。」
答え:(うちのポチは犬である。
この問題は"思い込みの力"が批判的思考力をいかに鈍らせるかがよく分かる問題です。「ポチならば犬に違いない」という思い込みを持っていると、この隠れた前提には気がつきません。この問題は、引用元の講師様が大学で試したところ、学生の正答率が数%だったという難問です。この問題文は次の文と論理構造が同じです。

「AとBを同時に持っているならDである。CはAである。ゆえに、CはDである。」
隠れた前提.CはBである。
)

・主張の内容が自分の常識や倫理観に合致している。あるいは自分にとって都合の良い結論である場合でも、クリティカル・シンキング(批判的思考)を働かせましょう。

◇自分が主張をするさいにも批判的思考は働かせなければなりません。繰り返しますが、書き手は自分の意見の結論部分には賛成ですから、自分の意見の根拠の論理飛躍には非常に気が付きにくいのです。さらに、人は主張を述べるさい自分の頭の中を見て説明しています。それゆえ、自分にとって自明な(思い込みによる)前提をつい省略してしまうことがあります。

省略された前提のなかには、読み手から見れば自明でない前提がありますから、それゆえ論理が飛躍してしまうことがあります

大事な事 :結論に賛成でも根拠を見て判断しよう。
大事な事 :思い込みにとらわれずに考えよう。
大事な事 :自分の主張を批判的思考で検証しよう。
大事な事 :自分が省略した前提は、本当に読み手にとっても自明なのか考えよう。

関連記事: 第一章 論理的な主張の仕方 論理の原則4 【隠れた前提を書く】

●精神論 【本当にこの説明で相手が理解できるだろうか?】

反論を述べるさいは、議論の相手やその支持者(つまり自分と異なる考え方を持つ人達)が、自分の反論を聞いた後、こちらの意見を支持してくれるだろうかと考えながら述べましょう。そのためには、本当にこの説明で異なる考えを持つ人に理解できるだろうかと考えながら述べましょう。

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目次
●はじめに 【クリティカル・シンキング(批判的思考)とは】
■反論のための基礎知識。
●前提と結論のつながり 【演繹法(えんえきほう)】
●前提と結論のつながり 【帰納法(きのうほう)】
●前提と結論のつながり 【逆と裏と対偶】
●前提と結論のつながり 【必要条件と十分条件】
●前提と結論のつながり 【論理の欠陥あれこれ】
●前提と結論のつながり 【隠れた前提には5つの種類がある】
●前提と結論のつながり 【隠れた前提の一種 「言葉の定義」】
■質問と反論の仕方。
●反論の原則 【前提(根拠)を攻撃せよ】
●質問と反論の技術 【個々の前提に反論せよ】
●質問の技術 【「なぜ?」の習慣 批判的思考】
●質問の技術 【抽象的な意見を具体化させてあげる】
■間違った反論の仕方。
●反論の禁じ手 【論点に沿った反論をせよ (論点のすり替え)】
●反論の禁じ手 【相手の主張を歪めてはならない (ダミー論証)】
■精神論。
●精神論 【結論に賛成だと批判的思考力が麻痺する (論理飛躍)】
●精神論 【本当にこの説明で相手が理解できるだろうか?】
●精神論 【自分の間違いは認めたくない (認知的不協和)】
●精神論 【意見と人格は切り離して考えよう】
●精神論 【相手の感情に配慮しよう】
■練習法。
●練習法 【クリティカル・シンキングの訓練法】


論理的な反論の仕方についてさらに深く学習したい方には、小野田博一氏の『論理的に話す方法』をお薦めします。論理の欠陥を見つける手法が、やさしい文章で詳しく解説されています。

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