論理的思考力と論理的な議論

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第二章 論理的な反論の仕方―サブメニュー

【論理的思考法の基礎知識】

【前提の正しさを疑う反論】(論証型の反論)

【新たな前提を加える反論】(主張型の反論) 

【推論の形式(前提と結論のつながり方)を疑う反論】

【メンタルの管理】 


想定外の前提&メリット・デメリット比較

最終更新日:2016.1.3

論証型の反論は相手の主張の前提に反論する形でした。
例 「主張Aの前提Bは正しくない。だからAは正しくない」

主張型の反論では、相手が想定していない前提を加えて異なる結論を導く形になります。
例 「主張AはCという前提を考慮していない。だからA正しくない」

A氏 「政治家になるためには勉強だけできれば十分」
B氏 「政治家になるためには人望も必要だよ」

前提1.政治家になるためには勉強ができる必要がある。
前提2.政治家になるためには人望が必要。 ←これを足した
前提1と2より.政治家になるためには勉強ができ、かつ人望も必要。(結論)

B氏はA氏が想定していなかった前提2を加えて異なる結論を導きました。

主張型の反論は論題の分野の知識に詳しくなければできませんが、それだけに説得力もあります。


「実年齢が同じなら男よりも女の方が精神年齢は高いと思う。だって年上の男と年下の女のカップルが多いでしょ」


論証型の場合
隠れた前提:カップルは精神年齢が近い者同士の組み合わせになる。(A)
・「Aを立証する調査資料はありますか?」

主張型の場合
・「男は主導権を得るために自分よりも精神年齢の低い相手を選び、女は主導権を任せるために自分よりも精神年齢の高い相手を選ぶと仮定したら、必ずしもその結論が正しいとは言えない」(B)

・「男は女よりも相手の容姿を重視するために女のほうが若いと仮定すると、必ずしもその結論が正しいとは言えない」(C)

主張型では相手が想定していない仮説B、Cを立てて他の原因を考えています。


メリット・デメリット比較


提案のメリットとデメリットを比較して、メリットが上回れば採用し、デメリットが上回れば不採用にする方法があります。

例えば人を殺してはいけないという法律には、自分が人を殺せなくなるという小さなデメリットと引き換えに、自分や知人が殺されにくくなるという大きなメリットがあります。

当サイト左メインメニューのディベート動画集を見るとほぼ全てがメリット・デメリット比較の形式を取っています。この形式が政策議論における合理的な方法だからです。

抽象的な例
主張「現行制度AにはデメリットBが存在する。だからAを廃止すべきだ」
反論「デメリットBは対策Cで解消できる。また現行制度AにはメリットDが存在する。Aを廃止するとDも消滅する。よってAを継続すべき(現状維持)」

具体例

X「クジラは絶滅が危惧されている(A)、だから獲らない方がいい」
Y「絶滅が危惧されている種のクジラだけは保護すればいい(B)。それにクジラは増えすぎると魚をたくさん食べて生態系に影響を及ぼすから獲ったほうがいい(C)」


Y氏はX氏が提示したデメリットAに対してX氏が想定していない対策Bを提示、さらに現行制度のメリットCを提示して反論しています。


修正案が出る例

A氏 「解雇規制を撤廃して雇用を流動化させるべきだ」
B氏 「しかし解雇規制を撤廃すると親が失業した子どもは学費を払えなくなり、退学を余儀なくされる可能性がある。だから撤廃すべきではない」
A氏 「学費を無料化すればその心配はないから、そのうえで解雇規制を撤廃すべきだ」

B氏はA氏が想定していないデメリットを提示して反論しました。そのあとA氏がB氏の想定していない対策を加えた修正案を提示しました。


次は主張側が新案を立案するケースについて

抽象的な例
主張「我が国の状況を改善するためにA案を実施すべきである」
反論「A案にはメリットもあるがデメリットの方が大きいのでA案を実施すべきでない(現状維持)」

または
反論「A案には現状を改善する効果はない。また費用がかかるのでデメリットが上回る。よってA案を実施すべきでない(現状維持)」

具体例

A「全国の中学校で、素行の悪い生徒が真面目な生徒の学習を妨害する問題が起きています。対策として加害生徒を特別学級へ移し、被害生徒から分離するとともに、スキルの高い教師が加害生徒の更生を試みる新制度を立案します」

B「新制度には反対だ。不良生徒を味方につける上手な立ち回り方を覚えなければ、将来もっと大きな権力が渦巻く大人社会では生き残れない」

A「上手く立ち回れずに不登校になる生徒もいると思われます。そうした生徒にとってはメリットが上回ります。また上手な立ち回り方を覚えた生徒は、将来互いの利益になる人間関係よりも、圧力で従わせる権力構造を選択しやすくなります。互いの利益になる社会の方がストレスがなく快適で、生産性も高いと思われます」

B氏はA氏の主張したメリットはむしろデメリットだと反論しており、A氏はB氏の主張したデメリットは視点を変えればメリットのまま残ると反論しています。


代案は必ずしも要さない

「反対するなら代案(対案)を出せ」という言葉をときおり耳にします。代案が必要な場合と不要な場合について考えてみましょう。

立案側の論理構造
前提1.現状を改善する必要がある。
前提2.A案には現状を改善する効果がある。
前提1と2より.A案を採用すべき。...(結論)

もし「現状に改善すべき問題はない」と考えているのなら、現状維持で良いので代案は不要です。言ってみれば“現状維持”が代案です。(X)

また「A案には現状を改善する効果はない」と考えている場合も代案は不要です。(Y)

また「現状には改善すべき問題があるのは認めるが、A案にはメリットを上回るデメリットが付随しているので(新たな前提)現状維持の方が理にかなっている」とした場合も代案は不要です。(Z)

このときA案推進派の対応としては、A案のデメリットに対策をとる修正を加えるか、「デメリットが上回るという指摘は反対派の分析ミスである」と指摘する方法があります。

またA案に賛成だが、もっと改善するためにあえて欠点を指摘して人の意見を聞く場合も代案は不要です。

代案が必要なのは、「A案が成功するかどうか分からないが、現状には改善すべき問題があり、タイムリミットが迫っているなどの事情で現状を維持できない」というような状況のときです。

おまけ
Xのケース
ぼく「僕が独裁者じゃないのは問題だ。みんなが僕の言うことを聞く法律を作るべきだ」
山田「ならなくていいよ」

Yのケース
ぼく「世の中から全ての犯罪を無くすために僕に100万円くれるべきだ」
山田「解決しないだろ」
ぼく「じゃあ犯罪が無くなる代案出せよ、出せないならやっぱ100万円ください」

Zのケース
ぼく「世の中から犯罪を無くすために軽微な犯罪者も全員死刑にする!」
山田「デメリットがでかいだろ」
ぼく「じゃあ死刑はやっぱやめて取り締まり厳しくする」


みんな!オラにちっとつ元気を分けてくれ!ツイート

関連サイト
NHK高校講座 ロンリのちから 第12回 推測の確かさ(動画)
論理的な反論 N&Sラーニング

メリット・デメリット比較関連のサイト
全国教室ディベート連盟 「このパート、なにするの?」
全国教室ディベート連盟 「本当に『プランについて反駁』するの?」

代案関連のサイト
「対案を出せ」への正しい対応法 - Thinking Laboratory
諏訪耕平の研究メモ(コメント欄までが遠足です)
議論は対案を示すのではなく論拠を交わすこと



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