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優越感にもとづく価値基準の恣意的な格付け

このページは「価値観の違い」を読んでいる前提で引用カーニバルを行っております。

優越感とはある価値基準の上で自分が他者よりも優れていると思う感情のこと。


パラビオシス/差別意識についてより抜粋して引用。

我々のほとんど、もしかすると全ての人間は無自覚な差別意識を持っていると見て間違いない。その差別意識の多くは、なんらかの社会的な価値が自分より劣る(と自分が判断した)者に向けられる。その場合の差別意識は“優越意識”と置き換えても良い。自分より成績の劣る者に、自分より仕事ができない者に、自分より顔が悪い者、収入が低い者、不健康な者、そして不幸な者にその優越意識を向ける。

 人が他人に対して差別意識を持とうとするとき、そこには、
「だから、差別意識を持ってもいいんだ」
 といういわば“お墨付き”が必要となる。差別意識を持つべき正当な理由がない限り、人は安心して他人を差別できない。“不当に”相手を差別するということが己の良心をかき乱すからだ。差別意識をしっかりと支えている思想があるからこそ、人は安心して差別意識を持つことができる。それは自覚した差別か無自覚の差別かにかかわらない。

 学校という社会においては成績の良い生徒が評価され、また成績を上げることを強く奨励するから、そうでない人間は成績の良い生徒に優越意識を持たれがちであるし、自分でも劣等意識を持ってしまいがちである。そうした意識を持つことを是とする環境が学校社会には備わっているから、そこに属する人間は特になんの違和感もなく安心して差別意識を持つことができてしまう。

 職場においては、仕事が出来る、出世が早い、などといった評価が最大の価値基準になっていて、仕事の出来る人間がそうでない人間を見下してもよいという特権を与えられているかのような環境ができ上がっている。

 もしも、一つの価値体系の中で自分が優越感を持つことが出来ないとすれば、人はその他の価値基準において他人より優っている点を探し出そうとし、出来うるならば、自分が評価されない価値基準よりも自分を評価してくれる価値基準を上に置こうとする。いわば価値基準どうしに優劣を付け、自分をより高い価値体系の中で評価されるべき存在として位置づけようとする。

 例えてみるなら、
「どんなに成績が良くたって、あんなにブスじゃしょうがないわ。女はどれだけ綺麗かってことに価値があるのよ」
「どんなにいい男で女にモテようが、金も稼げない奴は価値がない。男なら仕事でどれだけ金を手にすることができるか、それが最大の価値だ」

 どの価値基準がどの価値基準より上にあるのかなんてことは、この宇宙の中において決まっているものではない、と私は信じる。たとえ決まっていたとしても、そのランキングを知っている者などいるはずがない、と私は思う。だから、自分が評価されている価値基準が最も大切で価値あるものだなどと思っている人がいるとすれば、それはその人の勝手な思い込みに過ぎないだろう。

 さまざまな価値体系の中でも最も価値が高い価値体系があるとするなら、その価値体系において自分が高い位置にいることが最も気持ちの良いことであり、他の価値基準において評価されずとも、それをすべて打ち消してくれる力になる。そういう価値体系を見つけ、その中で自分は高いのだと思ってしまったなら、人がその拠り所から抜け出すのはとても困難なことだろう。


能力の優劣を人格の優劣にスライドさせている。

「自己の自尊心を保障する上で都合の良い価値基準を無意識的かつ恣意的に選択して優越感を得る。そのような愚行こそが愚民の愚民たるゆえんなのだ。その事実に気付いた私が一段上の人間であることもまた必然である」


この者は「人が価値基準を恣意的に選ぶことについて自覚的か否か」という価値基準を用いることにより自己の人格が一段上であると結論付けてしまっている。その事実に気付いた私が一段上の人間であることはやむを得ない。

あれ?





恣意的な線引が疑われる例
・動画サイトのアニメupはいいけどゲーム違法コピーはダメ。
・東大出てもハーバードに比べれば大したことない。



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目次
認知バイアスとは
酸っぱい葡萄と甘いレモン【認知的不協和】
一級市民と二級市民 【内集団バイアス・恨みに訴える論証】
勝ち馬に乗れ 【バンドワゴン効果】
赤信号みんなで渡れば怖くない 【リスキーシフト】
不快な事実は認めたくない 【感情バイアス】
印象は基準により変化する 【アンカー効果】
成功は自分の力、失敗は他人のせい 【自己奉仕バイアス】
今やめたらこれまでの投資が無駄になる 【コンコルド効果】
堅実性を選ぶか、賭けに出るか 【プロスペクト理論】
表現が変われば印象も変わる 【フレーミング効果】
占いはなぜ当たるのか 【バーナム効果】
俺は最初から分かってたよ 【あと知恵バイアス】
見られていることを意識してしまう 【観察者効果】
どうせ頑張っても無駄だよ 【学習性無力感、学習性無気力】


さらに対人関係における様々な心理効果について知りたい方には、斉藤勇氏の『図解雑学 人間関係の心理学』をお薦めします。(なか見!検索できます。)


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