第一章 論理的な主張の仕方

考えを表現する能力は、考えそのものと同じくらいに重要である。
-B.バルバ-

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●根拠のない主張はもともと同じ意見をもつ人の同意しか得られない

主張を書くときは「論題についての予備知識をが少ない人や自分と異なる意見をもつ人が、本当にこの説明で理解できるだろうか?」 と考えながら書く習慣が大切です。次の例文には説得力のある主張に必要な5つの条件が含まれています。

5つの条件とは

1.結論」 最終的な判断
2.目的と必要性」 主張の実現により期待できること、その必要性
3.根拠」 結論の実行により目的を達成できる理由の説明
4.実行方法」 提案を実現する方法
5.必要性根拠実行方法を証明する「事実資料」 検証、統計データなど

例文のなかで青色で書かれている箇所が結論、緑色で書かれている箇所が目的と必要性および必要性を支える事実資料、赤色で書かれている箇所が根拠と根拠を支える事実資料、黄色で書かれている箇所が実行方法です。

ブエノスアイレス市の警察職員を2000人増員することを提案します。(結論)
ブエノスアイレス市では1年の間に市民の61%が犯罪被害にあっており、治安維持のために犯罪率を抑える必要があります。
(目的と必要性)

次のグラフは途上国主要都市における犯罪被害者数の人口比率です。(目的と必要性を支える事実資料)
引用元サイト−社会実情データ図録  アクセス日時—2011年10月12日
著者名 本川 裕
肩書き 立教大学兼任講師
—引用開始—

—引用終了—

警察の増員により犯罪率の抑制に成功した事例としては1995年のニューヨーク市が有名です。ニューヨーク市では増えすぎた犯罪を撲滅するために警察職員を5000人増やして街頭パトロールを強化しました。その結果、次の5年間の犯罪認知件数が殺人で67.5%、強盗で54.2%、婦女暴行で27.4%減少しました。(根拠)

次のグラフはニューヨーク市(NYC)における犯罪件数の推移です。(根拠を支える事実資料)
引用元サイト−Tokyo-NewYork.com   アクセス日時—2011年10月12日
著者名 Yasuo Imamura  肩書不明
—引用開始—

出典−ニューヨーク市警本部統計
—引用終了—

予算と財源に関して、警察職員2000人の増員に必要な経費は年16億円になります。市民1人当たり約530円の負担で実現可能です。財源は所得税の増税を考えています。ブエノスアイレス市全域を対象に5年間で年400人ずつ増員する計画です。(実行計画 〈事実資料として見積書などがあるとなお良い〉)


以上が完成例です。






結論必要性根拠実行方法
柱により支えられています

それぞれの柱は事実資料の土台
により支えられています


柱と土台のことを正式には「前提」と呼びます。当サイトでも基本的には「前提」という呼び方を使用します。次項からは5つの条件のひとつひとつについて詳しく解説します。

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目次

【考えを表現する能力】
根拠のない主張が同意を得られるのは元々同じ意見の人からだけ。
「結論」「メリット」「根拠」「事実資料」「実行方法」の補足
「隠れた前提」と言葉の「定義」を明言する

【考えそのものを創る能力】
議論と論題の種類
政策のメリット・デメリットは視点により異なる
問題→原因→解決策の順番で考える
価値観の違いとは
重要リンク3種類の価値基準 「功利主義」「自由主義」「共同体主義」
重要リンク質問に答えて自分の価値観を確認



論理的な主張の仕方についてもっと深く学習されたい方には、小野田博一氏の『論理的に書く方法』をお薦めします。主張の基本原則をやさしく解説しているので、入門書に最適です。

論理的に書かれていない文章が同意を得るのは
もともと同じ意見を持つ者からだけで、
意見の異なる人を説得できるのは、論理的な文章だけです。
(小野田博一 『論理的に書く方法』より)


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