第一章 論理的な主張の仕方

考えを表現する能力は、考えそのものと同じくらいに重要である。
-B.バルバ-

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●論理の原則4【隠れた前提を書く】

隠れた前提とは、主張の中で明言されていないが、真実として扱われている(真実でないと主張が成り立たなくなる)前提のことを指します。

大抵の場合、結論と理由(や根拠)の間にある、述べられていない前提のことを指します。

例えば【主張A】にも隠れた前提があります。 分かりますか? 答えは背景と同じ文字色で隠してあるので、下の空白枠をマウスでドラッグして表示してください。

隠れた前提1 :犯罪率は抑えなければならない。
隠れた前提2 :警察官を増員すると犯罪率は低下する。

説明する前から気が付いていた人は論理的な人でしょう。 論理的な人はこの隠れた前提を見つける能力が非常に高いのです。

【主張A】の隠れた前提を明言して、ちゃんと書くと次の文章になります。

警察庁の警察白書によると過去五年間にわが都市の犯罪率は1%上昇している、わが都市の犯罪率を抑えなければならない。ゆえに警察官を増員するべきである。

ほらね、結論と理由の間に隠れてたでしょう。

書き手は主張を書くときに、自分の頭の中の見て書いています。したがって、自分にとって自明な前提をつい省略してしまうクセがあるのです。

しかし、読み手と書き手は同じ知識を共有してはいません。だから、読み手にとっては自明ではない前提を省略してしまうと、読み手からは結論と理由や根拠の間に大きな隔たりがある主張に見えてしまうのです。

もちろん、隠れた前提を辞書レベルまですべて書くと、クドイ文章になりますが、隠れた前提が多い主張は(特に異なる考え方を持つ人から見ると)論理飛躍のある主張となります。

注意するべき点は、書き手から見ると論理飛躍でなくとも、読み手から見ると論理飛躍になっている点です。書き手の頭の中にある前提知識や思い込みを、読み手は共有していないのです。

もっとも【主張A】の場合なら、隠れた前提を書かなくても、論理飛躍だと受け取る人は少ないでしょうけど。

大事な事: 隠れた前提があると、論理飛躍が起きる。

アンサイクロペディアの面白い論理飛躍の例。

いずれも、結論と根拠の間に大きな隔たりがあることがお分かりになると思います。

関連記事: 第二章 前提と結論のつながり 【隠れた前提には5つの種類がある】

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目次
■論理的に表現することの大切さ。
●言いたい事がうまく伝わらない原因はたいてい書き手の側にある。
●論理的でない主張は、もともと同じ意見をもつ者からしか支持されない。
■論理的に書く技術。
●論理の原則1【結論を書く】
●論理の原則2【結論を支える理由を書く】
●論理の原則3【理由を支える事実を書く】
●論理の原則4【隠れた前提を書く】
●論理の原則5【結論を支える根拠を書く】
●論理の原則6【結論と根拠の繋がりを書く】
●論理の原則7【根拠を支える事実を書く】
●論理の原則8【言葉の定義を詳しく書く】
●論理の原則9【根拠をたどって結論を導く】
■親切な文章の書き方。
●文章の書き方1【丁寧語(です・ます調)で書く】
●文章の書き方2【接続詞を使う】
●文章の書き方3【平易な表現を使う】
●文章の書き方4【文章の冒頭で全体像を見せる】
■Plan-Do-See(プラン・ドゥ・シー)計画・実行・反省。
●計画
●決定権の確保
●実行
●反省
■論理的に考えるための補足。
●論理的な思考法1【正しさや善悪は視点(前提)により変化する】
●論理的な思考法2【正しい知識を披露する事と影響力を与える事は違う】


論理的な主張の仕方についてもっと深く学習されたい方には、小野田博一氏の『論理的に書く方法』をお薦めします。主張の基本原則をやさしく解説しているので、入門書に最適です。

論理的に書かれていない文章が同意を得るのは
もともと同じ意見を持つ者からだけで、
意見の異なる人を説得できるのは、論理的な文章だけです。
(小野田博一 『論理的に書く方法』より)

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