第一章 論理的な主張の仕方
考えを表現する能力は、考えそのものと同じくらいに重要である。 -B.バルバ- |
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●わかりやすい文章の書き方―ヒートアップするな
主張内容を「証明」することと、相手を「説得」することは微妙に異なります。
説得とは、相手の考え方を変えることです。そのためには相手に影響力を与える必要があります。正しい知識を披露しても、影響力を与えることができなければ説得は失敗に終わります。
ではどういうときに影響力が失われるのでしょうか? それは書き手がヒートアップして過激な言葉を使ったり高慢な態度をとったときです。次の例は「野菜ジュースには本当に一日分の栄養素が含まれているか」という議論のなかでの発言です。
(野菜ジュースの製造工程) ・おいしさを維持するために粉砕後ろ過する ・廃棄物であるろ過物の方に脂溶性栄養素が残留する ・水溶性栄養素は熱に弱いものが多い ・空腹時に飲むと消化吸収のまもなく排泄される(これはサプリメントでも指摘されている) 以上の理由で水溶性も脂溶性もほとんど残らない。 |
以上の意見に反論がありました。
栄養学の先生が野菜ジュースでもいいって言ってたんだけどな(ただし糖分に注意) 加熱で栄養が壊れるとかいってたらそもそも生野菜以外は食べても意味ないってことになるだろ、バカなの? 企業の宣伝に踊らされない俺カッコイイ なの? 勉強しろよ |
さて、反論を読んだ相手(と同じ意見の人も)はどういう反応を示すでしょうか? こういう場合、どうしても読み手の意識はまず過激な言葉や、高慢な態度、侮辱的な表現に向かいます。その結果
「たとえこいつの言うことが正しくても
俺はこいつを支持したくない!」
という心理状態に陥ります。するとたとえ主張の構造が論理的であっても「説得」には失敗します。
そのわかりやすい例を動画で見てみましょう。
この動画のなかでおそらく勝谷さんは、被害の大きい地域の情報を優先して報道すべきで、優先順位の低い情報は尺を短く抑えるべきだと言いたかったのだろうと思います。しかし、相手の理解度が低いためにイライラしてしまったようです。
相手の理解度が低くても高慢な態度をとってはいけません。相手の理解度を把握して、そこを出発点として、結論に導きましょう。
加藤さんが「でも不安に思ってる方もいらっしゃいますからね」と言ったときに、勝谷さんが「じゃあ不安になってなさい」と言うのではなくて、「そういう情報も大事だけど、今は優先順位を考えて被災地の状況をもっと報道すべきなんですよ」と言い、その根拠を述べていればあまり反感は買わなかったはずです。
こちらは正しい知識を教えてやってるのに、それを理解しない相手が悪いのだという意見もあるかもしれません。しかし、このさい相手が悪いかどうかは重要ではありません。重要なのは、相手の考え方に影響力を持てなかった事実なのです。それではただ知識を披露したという自己満足だけで終わってしまいます。
次の動画の中野先生も、放送後には視聴者から「態度が悪い」や「言ってることは正しい」などの賛否両論が集まりました。
続きまして二宮先生
ルールを守らない読売記者にぶちキレる上杉隆氏と岩上安身さん
★助言
・掲示板などでどうしても過激な言葉を使うクセがある人は、投稿の直前にトゲを抜く作業をするといいでしょう。
★大事なこと
・ヒートアップするな。
・攻撃された人間は相手の意見に耳を貸さない。
それでは、ブチギレ動画でお別れです。
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考えを表現する能力は、
考えそのものと同じくらいに重要である。
−B.バルバ−
第1章 論理的な主張の仕方―サブメニュー
【考えを表現する能力】
【考えそのものを創る能力】
論理的な主張の仕方についてもっと深く学習されたい方には、小野田博一氏の『論理的に書く方法』をお薦めします。主張の基本原則をやさしく解説しているので、入門書に最適です。
論理的に書かれていない文章が同意を得るのは もともと同じ意見を持つ者からだけで、 意見の異なる人を説得できるのは、論理的な文章だけです。 (小野田博一 『論理的に書く方法』より) |
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