第四章 統計の嘘の見抜き方

嘘には3つの種類がある。 嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ。
− ベンジャミン・ディズレイリ −

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統計の嘘7【利害関係のある調査員】

調査に携わる調査員は、完全に第三者である必要があります。なぜなら、もし利害関係者が調査に加わると、特定の結果に肩入れをする可能性があるためです。

例えば、メーカーが自社製品の性能をテストする目的で実験を行った場合、悪い結果は正直に公表されない可能性があります。 そんな事をすれば利益に悪影響が出るためです。

逆に利益を増やすために、都合の良い数字を作り出す可能性があります。例えば前述したように、わざと少ない標本数で実験をして、偶然の力で都合の良い誤差が出るまで実験を繰り返す方法などが使えます。

他にも、100人の被験者を使って実験しておき、都合の良い結果が出た20人だけを公表して、「20人に試してもらった結果・・・」と発表することもできます。

報道番組の街頭インタビューもこれと同じで、制作者にとって都合の良い意見を言っている人だけを選んで映している事があります。実際にインタビューした人の数は隠されています。

テレビの科学番組でも、少数の被験者を使って実験を行う場合がほとんどですが、制作費や番組の制作期間が限られている中で、二千人もの標本を集めておき、「やっぱり有意差がありませんでした」というのでは、番組の採算が取れないのでしょう。

しかし番組を作るためには、どうしても有意差が必要なのです。 できれば視聴率のため、番組の主要な視聴者層やスポンサーが喜んでくれる結果が必要です。

これは詭弁の章で説明した内集団バイアス(優越意識)を利用して利益を得る方法と同じです。 お客さんを喜ばせてから囲い込むのです。

大事なこと: 特定の結果が出た時だけ調査員が儲かる仕組みの統計は、充分に疑ってください。

関連: 統計の嘘3 【少ない標本】
関連: 認知バイアス【今日から俺は一級市民 (内集団バイアス&恨みに訴える論証)】

お薦めサイト:マスコミ業界人による告発サイト『ポチは見た!〜マスコミの嘘と裏〜』より、
関西テレビの歯切れが悪いもうひとつの理由―あるある大事典スタッフが情報横流しの疑い。
「からくりテレビ」のからくりとTVやらせ事情―街頭インタビューはやらせだった。
マスコミが絶対批判できない最大のタブーとは?―テレビは視聴者を批判できない。

関連サイト
詭弁術の考察―統計の利用2

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目次
■統計のウソを見抜く方法。
●統計のウソ1【比較対象の定義が異なる】
●統計のウソ2【偏った標本】
●統計のウソ3【少ない標本】
●統計のウソ4【誘導的な質問】
●統計のウソ5【空気を読んで答える人】
●統計のウソ6【見栄をはる人】
●統計のウソ7【利害関係のある調査員】
●統計のウソ8【平均には三つの種類がある】
●統計のウソ9【視覚でごまかす】
【動画で学ぶ統計の基礎】
■ニセ科学とインチキ実験を見抜く方法。
●インチキ実験1【対照実験をしない】


統計のウソを見破る方法についてもっと知りたい方には、ダレル・ハフ氏の『統計でウソをつく法』をお薦めします。

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