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朝日新聞社 『長期体罰の子、脳が萎縮 熊本大准教授が共同研究』より引用 (こちらにも同じ記事

子どものころ長期にわたり強い体罰を受けた人は、受けていない人より脳の前頭葉の一部が最大で約19%縮んでいるという研究結果を、熊本大大学院医学薬学研究部の友田明美准教授(小児発達社会学)が米ハーバード大医学部との共同研究でまとめた。体罰と脳の萎縮(いしゅく)の因果関係を実証した研究として、体罰のあり方に一石を投じることになりそうだ。

友田准教授は筑波大(茨城県つくば市)で開かれている「都市化社会と脳の健全育成」を主題としたシンポジウムで25日、研究結果を発表する。11月に米ワシントンでも学会発表の予定。

研究は米国で、4~15歳のころに平手打ちされたり、むちで尻をたたかれたりするなどの体罰を年12回以上、3年以上にわたって受けた米国人の男女23人を対象に実施。磁気共鳴断層撮影装置(MRI)で脳の断面図を解析したところ、体罰を受けず育った同年代の22人に比べ、感情や意欲の動きにかかわる前頭前野内側部が平均19.1%、集中力や注意力にかかわる前帯状回が16.9%、認知機能にかかわる前頭前野背外側部が14.5%小さかった。

小児期に過度の体罰を受けると行為障害や抑うつなどの精神症状を引き起こすことは知られているが、脳への影響は解明されていなかった。今回の研究で脳の萎縮がみられた人については、体罰でストレス下に置かれた脳が、前頭葉の発達を止めたと考えられるという。


「前頭前野内側部」の萎縮を示す脳の断面図。赤や黄の色がついた部分が縮んでいる=友田明美准教授提供


西日本新聞 『幼い脳、悲しい防衛本能 性的虐待、言葉の暴力で萎縮』より引用。

虐待された子どもが負う傷は、身体と心だけではなかった。小児期に虐待を受けた人の脳を磁気共鳴画像装置(MRI)を使って研究している熊本大大学院医学薬学研究部の友田明美准教授と米ハーバード大の研究チームは、性的虐待や言葉の暴力を受け続けた人の脳が萎縮(いしゅく)していることを突き止めた。脳が無言で訴えていることは何だろうか-。児童虐待防止推進月間の11月、友田准教授に聞いた。(河津由紀子

言葉の暴力を対象とした研究では、4-17歳までに保護者から侮辱されたり、暴言を吐かれたりする経験をほぼ毎日受けた18-23歳の男女22人の脳は、そうでない同年代の20人の脳に比べて、大脳半球の側頭葉のなかで聴覚をつかさどる「上側(じようそく)頭回(とうかい)」が左脳で9・2%、右脳では9・9%小さかった。殊に男性は萎縮の割合が大きく、左脳が15・9%、右脳が13・8%縮んでいた。側頭葉だけでなく、頭頂葉にある言語を理解する部分にも萎縮がみられたという。

萎縮は、虐待をストレスと感じた脳が副腎皮質ステロイド(ストレスホルモン)を大量に分泌し、成長している子どもの脳の一部の発達を一時的に止めることから起きると考えられている。

では、なぜ虐待の種類によってストレスホルモンが影響する部分が違うのだろうか。友田准教授らの研究チームは、このようにみている。

例えば性的虐待は、親族など身近な人が加害者となることが多い。信頼している相手から思わぬ被害を受けた子は、その行為や相手の姿を見ないように、言葉の暴力を受けた子は、自分を傷つける言葉そのものを聞こえなくするため、無意識のうちにストレスホルモンが働いて脳を萎縮させているのではないか-。

友田准教授は「防衛本能によって外界から脳への感覚的な情報を拒絶するような、悲しい“発達”を遂げたのではないでしょうか」という。

 

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