第五章 権力闘争

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権力闘争 【本音と建前

第一章にも書きましたが、利害の絡んでいる議論では、本当の目的を隠しても主張を通して利益を得ようとする者がいます。

例) 政治家A 「道路には需要があるので予算を確保するべきです。」
政治家Aの本音: 地元にカネを落とさないと支持が集まらないので困る。

政治家Aは、本当の目的を話したら、利害の対立する勢力から反対されることがわかっているので、偽りの理由で説得しようとしています。偽りを見抜くためには、相手はどういう立場の人なのだろう、これによって何か個人的な利益を受けるのだろうか? などと考えてみる必要があります。

ただし、その人の立場だけをあげつらって批判しても状況対人論証になってしまうで、批判するときには根拠を示しましょう。

江田けんじNETに面白い例があったので引用しましょう。

衆議院議員選挙の場合、選挙期間は十二日間ある。まず、この十二日間の選挙運動期間中に、何と候補者同士の公開討論会が、法律で禁止されているのだ。

 昔は、「立会演説会」というものがあって、すべての候補者が弁士として並び、それぞれ縦横無尽に論陣を張ったものだった。しかし、演説会場に特定の候補者の支援者が大挙押しかけ、会場が騒乱状態になったり、誹謗中傷が飛び交ったり、公正中立な運営が確保されなくなったという理由で禁止された。しかし、これは実は表向きの理由で、本当の理由は、政界の主流を占めるお年寄りの議員が、とてもそういう公開討論に堪えられない、政策論議すらできない、ということで禁止されたのだ。

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目次
■ 権力闘争 【決定権者は誰?】
◇ インセンティブ 【賞で相手をコントロールする】
◇ インセンティブ 【罰で相手をコントロールする】
◇ インセンティブ 【罰で相手をコントロールする その2】
◇ 権力闘争 【分断して統治せよ】
◇ 民主主義政治とは 【政治家の選び方】
◇ 権力闘争 【本音と建前】


本章で解説するインセンティブについては、梶井厚志氏の『戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する』にも記載されています。

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