論理的思考力と論理的な議論

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第3章 詭弁!誤謬!レトリック!―サブメニュー

【推論形式の誤謬】

【前提の誤謬】

【レトリック】(暗示にかける表現)


経験者が言うなら分かる!でもお前は未経験者だろ!【個人攻撃】

最終更新日:2016.1.3

今日は
・個人攻撃 (こじんこうげき)
・ダブルスタンダード
・状況対人論証 (じょうきょうたいじんろんしょう)
これをやるぜ!



個人攻撃
別名「レッテル貼り」「人身攻撃」「対人論証」「人格攻撃」「人格批判」

これは権威に訴える論証の逆で、相手の地位や信用の低さに訴える論証です。

【レッテル貼り系】

相手の人物を、人種、民族、国籍、性別、年齢、思想、信条、宗教、障害、学歴、経験、職業、社会的地位、経済レベル、犯罪歴、趣味、外見などでカテゴリ分けをして、それをもとに相手の主張が誤りであるとする論法です。

論理構造
隠れた前提1.カテゴリAに所属する者の意見は常に誤り。 ←偏見
前提2.BはカテゴリAに所属する者の意見である。
1と2より.Bは誤り。...(結論)

具体例

泥棒 「1+1=2である」
A氏 「泥棒が言っても説得力がない」

発言者が泥棒であることによって「1+1=2」が事実でなくなるわけではないので、発言者は矛盾していません。

具体例の論理構造
前提1.泥棒に属する者の意見は常に誤り。 ←偏見
前提2.「1+1=2」は泥棒に属する者の意見である。
1と2より.「1+1=2」は誤り。...(結論)

「B氏は○○説を支持している。しかしB氏はバカだ。だから○○説は間違い」

バカが正しいことを言うかもしれません。

「正しいことを言えない奴のことをバカというのだ」

論点先取

A氏 「福祉政策を拡充すべき」
B氏 「皆さんご存知ですか? A氏は共産主義者ですよ

隠れた前提:共産主義者の意見は常に誤り。 ←論点先取
言外の意:A氏の意見は誤り。

あるいは「A氏の言うことを聞くとたちまち共産主義になりますよ!」と暗示しているのかもしれません。でもこれは2章でやった不当小名辞です。

A氏 「自炊なんかしなくてもコンビニ弁当だけで生活できるよ」
B氏 「A氏は学生さんですか?」

隠れた前提:学生の意見は常に誤り。 ←論点先取
言外の意:A氏の意見は誤り。

A氏「戦争反対」
B氏「非国民だね、非国民!」

新たなレッテルを創設してまで認定する人。

A氏 「外国人参政権に賛成」
B氏 「在日在日だね!」

A氏 「外国人参政権に反対」
B氏 「ネトウヨネトウヨだね!」

認定マンだね!

■経験にレッテルを貼る

「経験者が言うなら納得するけど、未経験者が言っても納得できない」

自分では経験していないことでも他人の経験を借りることで(例えば、科学者が収集・検証したデータを引用するなどして)正しい主張を行うことができます。例えば、私たちは多量の放射線を浴びたり、喫煙したり、特定のビタミンが不足したりすると健康に害があることを知識のみで理解していますね。

※ただし一般的に経験者のほうが正しいことを言う傾向があることを否定する意見ではありません。

【お前だって論法】
(言行不一致に訴える誤謬)

相手の主張する目標や理想を相手自身が達成できていない事実を取り上げて、相手の主張が矛盾であると指摘する詭弁。相殺法と対人論証が合わさったもの。

喫煙者A氏 「タバコは健康に害がある」
B氏 「お前も吸ってるじゃないか!矛盾してるだろ!だからタバコは無害!」

A氏が喫煙者であることによってタバコが有害であるという事実がなくなるわけではないので、A氏は矛盾していません。A氏はタバコが有害でもまだメリットのほうが上回ると思って、自己責任で吸っているだけかもしれません。

A氏 「B氏は不正をしている」
B氏 「A氏も同じ不正をしている。だから私の行為は不正ではない」

A氏が不正をしたことによってB氏が不正をしたという事実がなくなるわけではないので、A氏は矛盾していません。

A氏に批判する資格はないと思う人は発言資格の有無と発言内容の正しさを混同しています。この二つは全く別物です。さらには資格の有る無しの判断には主観的な価値判断が介入しているので、その価値判断を支える根拠は何か? 本当に押し付ける権利があるのか? について疑ってみる必要があります。

A氏 「覚醒剤はデメリットのほうが大きい。だから覚醒剤を使うのは損だ」
B氏 「A氏は覚醒剤中毒者だ!矛盾してるじゃないか!だから覚醒剤使用はべつに損じゃない」

隠れた前提:主張と行動が矛盾しているならば必ず主張の方が誤り。

しかしA氏は誤った行動を取って損をしているだけかもしれません。この例は覚醒剤中毒を他の依存症に置き換えても成立します。

A氏 「19世紀に女性に参政権がなかった国はすべて人権後進国である。19世紀のC国では女性に参政権がなかった。したがってC国は人権後進国である」

B氏 「C国よりも女性が参政権を得るのが遅かった国があるだろ!だからC国は人権後進国じゃねえよ!」

人権後進国の定義がA氏の提示した基準である以上、C国より遅い国があってもA氏は矛盾しません。でもレッテル貼りの疑い。

在日外国人 「私達は日本で税金を払ってるのに参政権がないのは差別だと思う」
日本人 「日本を批判する外国人には、そんなに日本が嫌なら出て行けと言いたい」
在日外国人 「それは合成の誤謬だ」
日本人 「そもそも日本に住まわせてもらっておいて日本の文句を言うのは筋違い」

はじめは「外国人に参政権を与えるべきか否か」という政策論題だったのが、途中から「在日外国人には日本を批判する資格があるか否か」の価値論題に変わっています。



ダブルスタンダード(二重規範)
別名「ダブスタ(略称)」「二重基準」

二つの矛盾する規範を同時に主張する誤謬。複数のものに同じ規範を用いるべきところで異なる規範を用いること。自己矛盾の一種。

A氏 「全ての人間はタバコを吸うべきでない。なお私は吸う」
↑ダブルスタンダード

B氏 「それじゃ矛盾するだろ。したがって結論は導けない」
↑誤謬ではない

A氏は「人は喫煙すべきでない」と「私は喫煙してよい」という矛盾する規範を掲げています。

「どんな場合でも人を傷つけてはいけない。そんなことは幼稚園児でも分かる」
↑故意に傷つけてるのでダブスタ


ただしダブルスタンダードを指摘する行為は、結論が立証されていないことを指摘する行為なので、直ちに結論を否定できるわけではありません。

泥棒 「泥棒は取り締まるべき。ただし私は泥棒するがね」
A氏 「それはダブスタじゃないか、ならば泥棒を取り締まる必要はないな」

とはならない。直ちに結論を否定すると「お前だって論法」になります。

 「あなたの主張はダブスタです。だからあなたの主張の結論が正しいか否かは判断できません」

 「あなたの主張はダブスタです。だからあなたの主張の結論は誤りです」


次はダブルスタンダードではない例

喫煙者A氏 「公共の場での喫煙を禁止すべき」
B氏 「何言ってんだお前吸ってんだろ、ダブスタだね」

もしA氏が「ルールが制定された後には吸わない」という意図で言っているならダブスタではありません。でも制定後も吸うつもりならダブスタです。これは増税を主張する人が先に税金を多く払う必要がないのと同じことです。

「政党への企業献金を禁止すべきだ。ただし法律で禁止するまでは我が党も貰い続けるがね」

これもダブルスタンダードではない例です。



状況対人論証

相手がそのような主張をせざるを得ない状況を指摘して、相手に対する偏見を植え付ける論法。発言者が利害関係者だからといって直ちに結論が誤りであるとは断定できません。

霊能者 「あなたは霊を信じていませんね。でもそれはあなたが霊を怖れているからに他なりません。霊がいると怖いから霊を信じないのです。つまりあなたは本心では霊が存在すると認めているのです」(言外の意:だから霊は存在する)

ダース・ベイダーとかに置き換えてもいいですが、「事実だと都合が悪いから事実でない」と考えていると決めつけています。

A氏 「公共事業費を削減する案には反対だ」
B氏 「A氏が反対している理由は、彼が利権にしがみついているからだ」

B氏は根拠を聞かずにA氏の利益は他者の不利益であると決めつけています。

A氏 「大麻は酒やタバコに比べて副作用も少なく中毒性も低い。だから大麻を解禁すべき」
B氏 「A氏は大麻を吸いたがってるだけの犯罪者だ!」

B氏は、A氏に個人的な利害があるからA氏の主張する根拠はすべて誤りであると決めつけています。またこれはレッテル貼りでもあります。

「南京大虐殺の件は中国政府が国内の批判をそらすために持ち出したものだ。だから事実ではない」

中国に都合が良いならば事実でないとは限りません。

A氏 「ネット上の匿名の書き込みは危険だ。ゆえに実名制にすべきだ」
B氏 「A氏は学者だ!A氏は学者の権威を利用して権威論証を行おうとしているに違いない!ゆえに実名制にすべきでない!」

言いがかりです。


【まとめ】

みんな!オラにちっとつ元気を分けてくれ!ツイート

関連サイト(個人攻撃)
詭弁>対人論証 - Wikipedia
個人攻撃 - Wikipedia
人身攻撃 - Wikipedia
詭弁術の考察>人格攻撃
お前だって論法とは - ニコニコ大百科
大衆論法:利便性と真理性の恣意的混同 - 名言と愚行に関するウィキ
詭弁術の考察>レッテル貼り
レッテル貼りとは - ニコニコ大百科
社会に出て通用しない - 名言と愚行に関するウィキ
人生経験 - 名言と愚行に関するウィキ
批判 - アンサイクロペディア
個人攻撃 - アンサイクロペディア

関連サイト(ダブルスタンダード)
ダブルスタンダードの身近な例 【OKWAVE】
Socius_ダブル・スタンダードの理論のために
ダブルスタンダードとは - ニコニコ大百科
二重規範 - Wikipedia
二律背反ってどういう意味ですか? - Yahoo!知恵袋



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