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認知バイアス【堅実性を選ぶか、賭けに出るか (プロスペクト理論)】
(Wikipediaより引用)
プロスペクト理論(prospect theory)は、リスクを伴う決定がどのように行われるかについての理論である。
例えば、以下の二つの質問について考えてみよう。
質問1は、どちらの選択肢も手に入る金額の期待値は100万円と同額である。にもかかわらず、一般的には、堅実性の高い「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多いとされている。
質問2も両者の期待値は-100万円と同額である。安易に考えれば、質問1で「選択肢A」を選んだ人ならば、質問2でも堅実的な「選択肢A」を選ぶだろうと推測される。しかし、質問1で「選択肢A」を選んだほぼすべての者が、質問2ではギャンブル性の高い「選択肢B」を選ぶことが実証されている。
この一連の結果が意味することは、人間は目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向があるということである。
質問1の場合は、50%の確率で何も手に入らないというリスクを回避し、100%の確率で確実に100万円を手に入れようとしていると考えられる。また、質問2の場合は、100%の確率で確実に100万円を支払うという損失を回避し、50%の確率で支払いを免除されようとしていると考えられる。
プロスペクト理論とは、このような心理的傾向を考慮した意思決定論などを指す。
(『独学ノート』より引用)
2人の認知心理学者カーネマンとトヴァスキーによって提唱された、実証的な意思決定理論。
・例題
【問題1】10万円をもらったうえで、二つの選択肢を提示されたとする。選択肢Aでは、さらに5万円もらえることが保証されている。選択肢Bでは、サイコロを振って偶数の目が出ればさらに10万円もらえるが、奇数の目が出ればそれ以上何ももらえない。どちらを選ぶだろうか?
【問題2】20万円をもらったうえで二つの選択肢を提示されたとする。選択肢Aでは、5万円を確実に取り上げられてしまう。選択肢Bでは、サイコロを振って偶数の目が出れば10万円取り上げられるが、奇数の目が出れば何も取り上げられない。どちらを選ぶだろうか?
・標準的な経済学による解答
意思決定理論(期待効用原理)では、個人は危険に対して首尾一貫した態度を保ち、最終的に実現すると思われる結果に対する主観的価値の期待
… つまり、将来得られる利益の主観的価値とそれが起こる確率を掛けた値を最大にするように意思決定すると考えられている。
前記の問題では、いずれも、選択肢Aは確実な15万円、選択肢Bは期待値としての15万円(同じ確率で20万円か10万円を獲得)という結果をもたらす。したがって、最終的に実現する結果によって評価するという標準的経済学に従えば、二つの問題における回答は同じはずである。
・カーネマンらの実験によると、多くの人が、問題1ではAを、問題2ではBを選択したという。すなわち、人間の選択行動は、次の特徴を有している。
1.最終的な結果ではなく、実現する結果が各個人の有する基準点より勝っているか劣っているかが重要となる。
2.利益獲得局面では危険回避的である(確実性を好む)一方で、損失局面では危険追求的となる(賭を好む)。
3.同額であれば、利益獲得による満足より、損失負担による悔しさのほうが大きい。
・カーネマンらは、このような人間の選択行動の特徴をうまくとらえた理論を提示し、それを「プロスペクト理論」と名づけた。
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