論理的思考力と論理的な議論




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【論理的思考力と議論】

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考えを表現する能力は、
考えそのものと同じくらいに重要である。
-B.バルバ-


第1章 論理的な主張の仕方―サブメニュー

【考えを表現する能力】

【考えそのものを創る能力】


問題→原因→解決策の順番で考える

最終更新日:2016.1.3

主張を書くときは結論(解決策)から先に書きますが、
考えるときは問題原因原因の原因解決策の順で考えましょう。
なお今回は問題解決ガチ勢は生暖かい目で見守ってください。

前半の例をまた使いますが、本当は私はブエノスアイレスにはあまり詳しくないのでここに書くことは架空の話です。すまんな。

まずは問題点から「原因の仮説」を立てます。原因は一つであるとは限りません。一つの方法として、問題の発生している状況と発生しないない状況を比較して、相違点を見つけるやり方があります。

【問題点】犯罪が多い
         
【原因A】都市が犯罪に弱いから(仮説)
【原因B】犯罪をするメリットがあるから(仮説)
【原因C】犯人に罪悪感がないから(仮説)

次に原因として立てた仮説の正しさをよく考える。

A.本当に都市が犯罪に弱いと犯罪が増えるのか?
  またこの都市は本当に犯罪に弱いのか?

B.本当に犯罪をするメリットがあると犯罪が増えるのか?
  またこの都市には本当に犯罪のメリットがあるのか?

C.本当に犯人に罪悪感がないと犯罪が増えるのか?
  またこの都市の犯罪者には本当に罪悪感がないのか?

まあ今回は3つとも検討する価値があると仮定しましょう。
次に原因の「原因の仮説」を立てます(何度繰り返しても良い)。

【原因A】都市が犯罪に弱い
         
Aの【原因D】警官が少ないから(仮説)
Aの【原因E】ゴロツキが多いから(仮説)
Aの【原因F】街が汚いから(仮説)


【原因B】犯罪をするメリットがある
         
Bの【原因G】失業率が高いから(仮説)


【原因C】罪悪感がない
         
Cの【原因H】道徳教育が未熟だから(仮説)


図にするとこんな

        【犯罪が多い】
           ┃
    ┏━━━━━━╋━━━┓
   【A】    【B】 【C】←原因
 ┏━━╋━━┓   ┃   ┃
【D】【E】【F】 【G】 【H】←原因の原因


次はまた原因の「原因の仮説」の正しさを調査をします。論文や統計、専門家の書いた本を探すか、もしくは自分で調査・検証しましょう。

D.警官の数と犯罪率に相関因果関係を示す統計、分析資料はあるか?
  またこの都市の警官が少ないことを示す比較資料はあるか?

E.ゴロツキの数と犯罪率の相関や因果関係を示す統計、分析はあるか?
  またこの都市のゴロツキが多いことを示す比較資料はあるか?

F.街の景観と犯罪率の相関や因果関係を示す分析資料はあるか?
  またこの都市の景観が汚れていることを示す調査資料はあるか?

G.失業率と犯罪率の相関・因果関係を示す統計や分析はあるか?
  またこの都市の失業率が高いことを示す統計はあるか?

H.道徳教育の時間と罪悪感の強さの相関・因果関係を示す分析はあるか?
  またこの都市の道徳教育の時間が少ないことを示す資料はあるか?

この過程で関連性を確認できなかったものは切っていきます。正しいものについては、さらに納得がいくまで原因の原因の原因・・・と繰り返し探って行きます。

例 「なぜ警官が少ないのか→予算が少ないから→なぜ予算が少ないのか→議会が重要性を理解していないから→なぜ理解していないのか」

例 「なぜ失業率が高いのか→都市部の人口が急激に増えて職不足だから→なぜ急激に増えたのか→農村で貧困が広がってるから→なぜ貧困が広がったのか→なんか経済危機で」

そしてまたこれら全ての正しさを調査していきます。ただし今回は次へ進みましょう、理由は思いつかない長くなるからです。

次に原因から解決策の仮説を立てます。

仮説を裏付けましょう。方法の一つとしては実例を見つけてそれはどのように行ったか、効果はどうであったか、デメリットはなかったかなどを調べるやり方があります。

警官と清掃活動の実例ならNY市にあるのでこれは使えそうですね。もちろんデータが集まらなくてもリスクなく簡単に試せる解決策なら試せばいいだけです。

さて、解決策を実施したら結果を評価して問題点を洗い出して改善する必要があります。正しいアイディアもはじめから完全にうまく機能するわけではありません。例えば飛行機だって多くの事故と死者を出して今の完成品があるわけです。

だからちょっとうまく行かなかったからといって根本から破棄するのは早いかもしれません。バージョンアップを重ねてシステムの完成度を高めることもできます。


考えるときに結論ありきで考えないように注意しましょう。人によっては個人の利益や偏見にもとづく結論を正当化するために、あとから適当なメリットや根拠をつけ足したり、本当の目的を隠して建前を言う人もいます。

例えば警察組織を大きくしたいという野心を持つ役人がいたとします。その人はこう考えるかもしれません・・・

警察職員を増員したい。だがいきなりそんなことを言っても誰も納得しないから、何か正当な目的を作らないといけないな。そうだ、たしか近頃犯罪率が増加していたな、建前の必要性はそれでいいや。それから、警察職員を増員すれば犯罪率が低下するという仮説もくっつけて根拠にしよう。勿論そんなデータは無いから資料は出さないことにしよう。

こうして後付けされた目的や根拠はいい加減なものであったり、ときには捏造されることもあります。そういう人は本当の目的を書いても誰も納得しないことを理解しているので、もっともらしい後付けをします。気をつけましょう。


【まとめ】
・問題→原因→原因の原因→原因の原因の原因・・・→解決策の順に考える。
・出てきた全ての原因と解決策の正しさを調べる。
・結論ありきで考えるのはダメ。

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関連サイト
なぜなぜ分析は、危険だ タイム・コンサルタントの日誌から
どこがマズイの?なぜなぜ分析の注意点と3つのポイント
なぜなぜ分析 - Wikipedia
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