ここからしばらくは、論理の組み立て方(前提と結論のつながり方)について解説します。その方法の一つである「演繹法」は、物事を考えるさいに、最初の前提から次の前提を導き、それを繰り返して、最終的に必然的な結論を導く方法です。要するに、厳密に論理的に考えて結論を出す方法だといえます。演繹法は反論の基礎になるのでしっかり覚えてください。
次の例文を読んでください。
「犬はみな生き物である。生き物はみな死ぬ。したがって、犬はみな死ぬ」 |
この例文の論理構造は次のようになっています。
前提1.犬はみな生き物である。
前提2.生き物はみな死ぬ。
前提1と2ゆえ.犬はみな死ぬ。...(結論)
前提1と前提2をつなげて、結論を導くことができました。これが演繹法です。
ここで問題です。次の結論を演繹的に導いてください。(ただし前提は全て真実であると考えてください。)
前提1.犬はみな生き物である。
前提2.生き物はみな死ぬ。
前提3.死んだものはみな天国へ行く。
前提1と2ゆえ.犬はみな死ぬ。...(A)
前提3とAゆえ.(犬はみな天国へ行く)...(結論)
前提1と前提2をつなげて前提Aを導き、さらに前提3と前提Aをつなげて結論を導くことができました。このように、前提と前提をつなげて次の前提を導きながら、最終的に結論を導く方法が演繹法です。
この、前提と前提の“つながり方”が正しければ、演繹法は正しい結論をみちびくことができます。(つながり方が誤っている例については後で解説します。)
ところで、読者のなかには前提3の「死ぬとみな天国へ行く」は事実ではないと考える方がいらっしゃると思います。しかし今は“つながり方”の正しさを解説するのが目的なので、前提そのものが誤りである可能性については今は問題にせずに、後で解説します。
ここまでは具体的な例を用いて解説しましたが、次は『単語』を単純な『記号』に置き換えて考えてみましょう。
【問題】
前提1.AならばBである。
前提2.BならばCである。
前提3.CならばDである。
前提4.DならばEである。
前提1と2ゆえ.(AならばCである)...(X)
前提3と4ゆえ.(CならばEである)...(Y)
前提XとYゆえ.(AならばEである)...(結論)
記号にどんな単語を当てはめてみても、前提が真実である限りは結論も真実です。
演繹法についてはこちらのサイト(Weblio辞書)でも解説されています。
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論理的な反論の仕方についてさらに深く学習したい方には、小野田博一氏の『論理的に話す方法』をお薦めします。論理の欠陥を見つける手法が、やさしい文章で詳しく解説されています。
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