第四章 統計の嘘の見抜き方

嘘には3つの種類がある。 嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ。
− ベンジャミン・ディズレイリ −

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統計の嘘5【空気を読んで答える人】

ダレル・ハフ著書の『統計でウソをつく法』によると、質問者の性質によって調査結果が変わるという報告がされています。次の文章は『統計でウソをつく法』からの引用です。

戦争中のことであるが、米世論研究センターが南部の都市に二つの調査団を出して、500人の黒人に三つの質問をさせたことがある。調査団の一方は白人で、もう一方は黒人で構成された。

質問の一つは「もし日本人がアメリカを占領したら、黒人に対する差別は今より少なくなると思うかどうか?」というものであった。黒人の調査団は、質問したうちの9%の人達が少なくなると答えたと報告しているが、白人の調査団によるとそういう答えはたったの2%であった。

また、現在よりも差別がひどくなるだろうと答えた黒人が、黒人の調査団では25%あったが、白人の調査団によると45%になっていた。"日本人"のかわりに"ナチ"とした質問の結果も同じようなものであった。

三番目の質問は、前の二つの質問にあらわれた感情に根ざしていると思われる態度に探りを入れている。すなわち、「日独伊の枢軸国をやっつけるのに全力を集中するのと、国内で、もっと民主主義制度を徹底させるのと、どちらがより重要だと思うか?」この質問に対して、"枢軸国打倒"と答えたのは、黒人調査団によると39%で、白人調査団によると62%であった。

戦時中という特殊な条件下での実験ではありますが、この実験で回答者が質問者の喜ぶ答えを選んでいることが分かります。

またハフ氏は、街頭調査の調査員は"感じのよさそうな人"に引き寄せられるとも指摘しています。

統計の嘘6【見栄をはる人】

回答者のモラルを問う類の質問。例えば「あなたは一日平均、何回歯を磨きますか?」というような質問には、回答者は正直に答えない傾向があります。

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目次
■統計のウソを見抜く方法。
●統計のウソ1【比較対象の定義が異なる】
●統計のウソ2【偏った標本】
●統計のウソ3【少ない標本】
●統計のウソ4【誘導的な質問】
●統計のウソ5【空気を読んで答える人】
●統計のウソ6【見栄をはる人】
●統計のウソ7【利害関係のある調査員】
●統計のウソ8【平均には三つの種類がある】
●統計のウソ9【視覚でごまかす】
【動画で学ぶ統計の基礎】
■ニセ科学とインチキ実験を見抜く方法。
●インチキ実験1【対照実験をしない】


統計のウソを見破る方法についてもっと知りたい方には、ダレル・ハフ氏の『統計でウソをつく法』をお薦めします。

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