論理的思考力と論理的な議論




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【論理的思考力と議論】

【上級者の実戦を観察する】

【心理と対話】

【その他】


私は、あなたがあなたの欲求を満足させる権利を尊重しますし、
同時に、私自身についてのその権利も尊重します。
だから、私たち双方に受け入れられる解決策を
いつも探すことにしましょう。
あなたの欲求は満たされ、私の欲求もまた満たされるでしょう。
どちらも負けません。両方が勝つのです。

-「人間関係についての信条」より-


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◆『親業』が子どもの人格形成に与える影響。

家庭で子どもに「親業」使うと、親子の関係が良くなるだけではなく、子どもの人格形成にも良い影響を与えます。理由の一つには、子どもが親の行動を見て真似るモデリングという作用により、子どもが自然に親業を覚えるという効果が挙げられます。

次の事例は、幼稚園児(四歳)四人の会話です。(『理由ある反抗―親業(ゴードン・メソッド) いまを解決する話す技術・聞く技術 』より。)

幼稚園の帰りに、門のところで、今日は誰の家に遊びに行くか、子ども達で相談中。

ユカ 「アヤちゃんの家に一度も行ったことないから、アヤちゃんの家に行きたい。」
マサミ 「私は行ったことがあるから、別の家で遊ぶほうがいい。」
アヤ 「マサミちゃんの家に行こうよ。」
ユカ 「マサミちゃんの家じゃなくて、アヤちゃんの家で遊びたい。」
 (互いに譲らず、どんどん時間がたつ。母親達は気が気でない)
ケイコ (それまで黙って三人の言うことを聞いていたが) 「ユカちゃんは行ったことがないからどうしても、アヤちゃんの家で遊びたいのね。<繰り返し> アヤちゃんは、マサミちゃんの家で遊びたいのね。<繰り返し> 私もマサミちゃんの家で遊びたいな。<宣言のわたしメッセージ>」
ユカ (泣いている)
ケイコ 「ユカちゃんはアヤちゃんの家じゃないとイヤなのね。<気持ちをくむ> どうしょうか。今日はマサミちゃんの家でみんなで遊ぶのはだめ?」
ユカ 「いい。マサミちゃんの家で遊ぶ。」

四歳の子が、相手の意向をきちんと聞いて、しかも自分の主張もして、納得させて、遊ぶ先を決めたのに、お母さん達はビックリしました。もちろんケイコちゃんのお母さんが親業を勉強していたことが、ケイコちゃんのこういう言語行動に結びついたのです。


「親業」には、子どもの自尊心(自己評価)を向上させて、自分で考えて行動する力を伸ばす効果もあります。ゴードン博士は次のように言っています。

(『自立心を育てるしつけ―親業・ゴードン博士 』より。)

わたしメッセージは、大人が子どもをコントロールするのに使う方法ではない。子どもがセルフコントロールするために、子どもに責任を持たせる方法である。わたしメッセージは責任感を自己規律を育む。この重要な原理は、カリフォルニア大学バークレー校でダイアナ・バウムリンドが行った、古典的な実験(一九六七年)で確証されている。

保育園児を対象にした実験で、バウムリンドは次の事実を発見した。セルフコントロールと自己規律が高く評価された子どもは、その両親が懲罰的なメッセージや罰を与えなかった。そのかわりに、理論およびバウムリンドが「認識構造」と名づけたものを、広範囲に利用している。認識構造というのは、子どもが他者の行動に対して否定的な効果を与えていると、子どもに言うことで―つまり私たちの言う、わたしメッセージである。こうしたメッセージによって、子どもは自分の行動の影響力を内在化させ、良心あるいは内的コントロールを発達させる―これは私たちが、自己規律と呼ぶもので、外からの規律と反対のものだ。

このようなメッセージは、親が一般的に受容的である場合、きわめて効き目があるとバウムリンドは言う(私たちの用語では、親が自分の子どもの行動の大半を、行動の窓の上の二つの枠の中に見ている場合である)。全般的に親に受容されている状態にある子どもは、自分の特定の行動を受容できないと言ってくる親からのわたしメッセージに対し、より注意を払う。逆に、親がいつも非受容であると、子どもはまた別の非受容のメッセージが一つ加わったとしても、気がつかなかったり反応しないことが多い。

生徒の困った行動を変えるために、わたしメッセージを使った効果は、ピーターソンらの研究(一九七九年)で報告されている。罰とわたしメッセージの効果は、パークの研究(一九六九年)などがある。

自尊心(あるいはその欠如)は、人間の生活の中で、決定的に大切である。スポーツで学校で仕事で、自尊心はやる気を出させるもの、と見られている。自尊心の強い若者はまた、友人が多く、仲間から有害な圧力をかけられてもうまく抵抗する。他人の批判や思惑に動じにくく、知能指数が高い。からだの調整がうまく、恥ずかしがりでなく、あがることが少ない、積極的に自分の欲求を満たす。これらはみな、研究で証明されている。自尊心は、精神衛生の本質的な核、基本となる土台とも考えられている。

わたしメッセージを使うと、子どもの自尊心が高められる。スタンリー・クーパースミスによる研究(前出・一二四ページ参照)は、このことを証明している。


自尊心(自己評価)っていったい何だ? という方には、こちらに簡単な説明があります。

また、ゴードン博士は次のようにも言っています。 (『自立心を育てるしつけ―親業・ゴードン博士 』より。)

[責任感と運命のコントロールが高まる]
自分の人生や運命に、自ら責任を負っていないと感じる人間は、精神衛生が悪くなる。このことは臨床的に証明されてきた。特に憂うつ症や心配症、ストレスの原因になる。

私たちの講座で教えるのは、子どものセルフコントロール対おとなのセルフコントロール、内からのコントロール対外からのコントロール、というのが核心になっている。心理学者は最近、この論点に興味を持ち、「運命コントロール」と名づけている。

独裁的な教師や親は、外からのコントロールに頼る。その結果、子どもは依存心が高くなり、運命コントロールは育たない。民主的なおとなは、子どもに自由や責任をたくさん与える。子どもは、おとなから、信頼されているから、自分の運命に自分が責任を持たされているのだ、と感じる。

第五章で私は、スタンレー・ミルグラムの、服従と権威に関する実験を紹介した。彼の結論を思い出してみよう。

「責任感の消失は、権威への服従によって、行き着くところまで行った結果である。」

つまり、外的なコントロールである「権力」で育てると、自分で自分を律する内的なコントロールが育たなくなる、ということですね。そして、「親業」は子どもの内的なコントロールを育てる手法だということです。

考える術を教えるべきで、考えたことを教えるべきでない。

グルリット/ドイツの建築史家



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