論理的思考力と論理的な議論

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【論理的思考力と議論】

【上級者の実戦を観察する】

【心理と対話】

【その他】



第3章 詭弁!誤謬!レトリック!―サブメニュー

【推論形式の誤謬】

【前提の誤謬】

【レトリック】(暗示にかける表現)


世の中にはお前より不幸な奴もいる!甘えるな! (論点のすり替え)

最終更新日:2016.1.3

今日は
・論点のすり替え (ろんてんのすりかえ)
・藁人形論法 (わらにんぎょうろんぽう)
・相殺法 (そうさいほう)
・誤った類推 (あやまったるいすい)
これをやるぜ!

まず「論点」を定義しよう。
論点とは全ての前提と結論のうち議論の対象となっているものを指します。

例 以下の3点は議論の対象ならば論点です。
前提1.ゲイポルノは有害である。
前提2.有害なものは規制すべき。
前提1と2ゆえ.ゲイポルノを規制すべき。...(結論)

論点になるとこう変わります。
1.「ゲイポルノは有害であるか否か」
2.「有害なものは規制すべきか否か」
3.「ゲイポルノを規制すべきか否か」(論題

すべての前提は結論について論じるためのものです。
そして結論は論題に言及しています。
だから論題は必ず論点になります。


論点のすり替え
別名「燻製ニシンの虚偽」

全ての反論は論題につながっている必要があります。上の例の論題は「ゲイポルノを規制すべきか否か」なので、どんな反論も最終的には「ゲイポルノを規制すべきでない」につなげる必要があります。

問題のない例

上の例の前提1を手がかりに
「ゲイポルノは有害ではない。したがってゲイポルノを規制する必要はない」と反論。

または新たな前提を加えて
「ゲイポルノを規制すると消費者の娯楽が失われるデメリットが発生する。ゆえにゲイポルノを規制すべきでない」と反論。

これらは全て論題の否定につながっているので論点が合っています。

問題のある例

「そういえば有害と言えば漫画も有害だな、漫画を規制すべきだ」
または
「ゲイポルノの批判ばかりするが漫画の有害性についてはどう思っているのかね?」

などと論題と関係のない話を始めると論点が外れてしまいます。


まずは論題を明確に共有して置かないとみんながバラバラの主張を始める流れになるので注意が必要です。もし話が論点から外れていると思ったら相手を責める前に、論題が共有されているかを確認しましょう。


車の排気ガスは大気汚染の原因である。ゆえに、車の使用に規制を設けるべきだ

この主張の結論は「車の使用に規制を設けるべき」です。したがって、この議論の論題は「車の使用に規制を設けるべきか否か」になります。

ゆえに、この主張に対する反論はすべて、「車の使用に規制を設けるべきでない」と論じなければなりません。

論点から外れている例

「工場から排出される有害物質も大気汚染の原因である。ゆえに工場に規制を設けるべきだ」

もしくは
「大気汚染も問題だが水質汚染も深刻だ。水質汚染をなんとかしろ」


正しく論点に沿った例

「車の排気ガスは大気汚染の原因ではない、したがって、車の使用に規制を設ける必要はない

もしくは
「車の使用に規制を設ければ、市民生活や経済活動に悪影響が出る。 したがって、車の使用に規制を設けるべきではない

この反論は両方とも、「車の使用に規制を設けるべきか否か」が論点になっています。

はいつぎー

A「盗まれやすいバイクの車種ってありますかね?」
B「盗まれやすいバイクなんてないよ。どんなバイクでもしっかり対策してれば盗まれないからね」
A「じゃあしっかり対策していなければ盗まれやすい車種はあるんですかね?」
B「それは対策しない人が悪いよ」

論点は「盗まれやすいバイクの車種はあるか否か」ですが、最後で「盗まれるのは対策をしなかった人が悪いのか否か」に変わってしまいました。あと論点からは外れますが前者は事実論題、後者は価値論題です。

A「鯨の竜田揚げおーいしー!!鯨の竜田揚げおーいしー!!ふぉおおおおおおおおお!!!!」

次の反論のうち論点ハズレはどれ?
B「鯨の塩漬けもおいしいぞ!」
C「鯨の祖先は陸で生活してたんだぞ!」
D「鯨は頭いいから食べちゃダメなんだぞ!」
E「むん?そもそも鯨の竜田揚げを食う必要などないではないか???」

答え(ドラッグ):(全部。
Aの論点は「鯨の竜田揚げはおいしいか否か」ですが、
Bの論点は「鯨の塩漬けはおいしいか否か」
Cの論点は「鯨の祖先は陸で生活していたか否か」
Dの論点は「鯨を食べても良いか否か」
Eの論点は「鯨の竜田揚げを食べる必要があるか否か」です。
)


A氏 「野党が政権を取っても政治は良くならない。なぜなら野党の政策には具体性がないからだ」
B氏 「しかし野党が政権を握ることはない。誰も野党を信用してないからな」

B氏の反論の論点は合っている?
答え: (論点外れです。Aの論点は「野党が政権を取ったら政治が良くなるか否か」ですが、Bの論点は「野党が政権を取れるか否か」だからです。


A氏 「エロ漫画を規制すべきだ。性犯罪を引き起こすものは規制しなければならないからだ」
B氏 「でもすべてのオタクがエロ漫画を読むわけじゃない」

B氏の反論の論点は合っている?
答え: (論点外れ。Aの論点は「エロ漫画を規制すべきか否か」ですが、Bの論点は「すべてのオタクがエロ漫画を読んでいるか否か」です。


A氏「捕まらないなら万引きをしてもいいと思います」
B氏「でも現実には万引きをすれば捕まるリスクがあるのでしないほうが良い」

B氏の反論の論点は合っている?
答え:(論点外れ。
A氏の論点は「捕まらないと仮定したら万引きをしても良いか否か」ですが、
B氏の論点は「捕まると仮定して万引きをすべきか否か」になっています。


A氏「妊娠中絶というもんは胎児を殺しとるんであります!したがって殺人なんでありますこれ!」
B氏「胎児に人権はないので殺人ではありませんよ」
A氏「この問題はそういう次元でないんでありますこれ!」
B氏「だって法律で決まってないんだから価値観の押し付けでしょ」

どうしてこうなった
答え:(論題を明示して共有しなかったから。
B氏は「現行の法律上の解釈で殺人か否か」を、
A氏は「法律のそもそもの根拠にさかのぼって法律を変更すべきか否か」を論題にしているからです。


A氏「これこれの理由で俺が不遇なのは社会が悪い」
B氏「ちげーよだから俺が言いたいのはお前が社会のせいにして自分で努力しないのがダメだって言ってんだよ」
A氏「じゃあ社会は悪くないんですか? なら“これこれの理由”の部分に反論してください」
B氏「ちーげだから俺はお前がここで社会批判してるだけなのが気に入らないって言ってんだよ」

デジャブだ!
答え:(論題共有忘れ。
A氏の思ってる論題は「俺が不遇なのは社会が悪いからか否か」
B氏の思ってる論題は「この議論にメリットがあるか否か」。

やや論点から外れますが
「誰が道徳的に悪いのか」は価値論題
「誰が問題の原因を作ったのか」は事実論題
「誰が責任をとって問題の解決に当たるのか」は政策論題
全て違います。


もし論点から外れてると思ったら論題の共有を確認してからどう関係あるのか聞こう、関係ないのにしつこい発言は付き合うと脱線するので無視でGO。


藁人形論法
別名「ストローマン」「ダミー論証」「架空の論法」

誤謬(無意識的)の場合
相手の本来の意図とは異なる誤った解釈にもとづいて反論してしまう誤謬。議論の過程で必ず起きると想定しておこう。

詭弁(意識的)の場合
相手の意図を曲げた解釈を作り出し、そちらを否定することにより本来の主張を否定したかのように見せかける論法、良くないよ。

Wikipediaの例
A氏 「私は子どもが道路で遊ぶのは危険だと思う。」
B氏 「そうは思わない、子どもが外で遊ぶのは良いことだ。A氏は子どもを一日中家に閉じ込めておけというが、果たしてそれは正しい子育てなのだろうか。」

下線の文はA氏の言っていない部分に対する反論です。道路のみが外ではないので、道路で遊ばせるか家に閉じ込めるかの二択にはなりませんが、B氏がわざと言っていると決め付けずに冷静に訂正しましょう。

例 「私は道路で遊ぶのが危険だと思っただけで、外で遊ぶ事自体を否定したわけではありません」


私の記憶では2000年代前半頃にはこういう返し方が流行ってました。

A氏 「私がどこに『外で遊ぶのは悪いことだから一日中家に閉じ込めておけ』と書いたのですか? 具体的に引用して指摘してください(ニヤニヤ」
B氏 「・・・・・・・・(しまった書いてない!)」

このパターンあんま見なくなったねw ケンカ腰良くないよw


つぎー

A氏 「今の資本主義社会は弱者に冷たすぎる、仕組みを変えるべきだ」
B氏 「A氏は共産主義社会を支持しているが私は反対だ」

B氏はどういう解釈をした?
答え: (A氏が社会を共産主義に変えるべきだと言っていると思った)

訂正例

A氏 「私は共産主義にすべきだと思っているのではなく、資本主義のまま社会保障を強化すべきだと思っています」


つーぎ

A氏 「専業主婦は楽だと思う」
B氏 「楽して何が悪い?」

なんぞこれ?
答え:(A氏は「楽をするのは悪いことだ」とは言ってないけど、B氏は言われたと思ってカッとなった。A氏の主張は「専業主婦は楽をしている。楽をするのは良いことだ。ゆえに専業主婦は良いことだ」かもしれません。


A氏 「中学生が髪を染めるのは良くない」
B氏 「私は生まれつき茶髪の中学生ですが何がいけないんですか?(言外の意:いいに決まってる)」

何がいけないんですか?
答え: (A氏の主張は「中学生で髪を染めているならば悪だ」ですが、
B氏の解釈は「中学生で茶髪ならば悪だ」です。


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批判する相手がその場にいないときに藁人形論法が意識的に使われることが多いと思います、例えば兄弟げんかを親にチクるときとか、相手の主張を引用するさい自分に有利なように都合良く歪めてたくなるはずです。

また実際には藁人形論法のように見えてもこちらの説明不足により意図が正しく伝わっていないか、相手の解釈がたまたま合っていないだけの場合が多いはずです。

そもそも解釈は何度もすり合わせるものなので、最初から合致している方が珍しいくらいに思っていた方が良いです。

話を聞かない人も多いなか、解釈を試みてくれるだけでもありがたいので、はじめから詭弁だと決めつけたりバカ扱いするのはおよろしくありません。


相殺法

論題と無関係な論点を立てて相手の主張を否定する論法。
「AはZである、BもZである。したがってAはZではない」

具体例

侮辱されて殴ったなら殴った方は犯罪じゃねえだろ、侮辱した方が犯罪だろうが。

「暴行は犯罪である。侮辱も犯罪である。したがって暴行は犯罪ではない」にはなりません。侮辱が犯罪であることによって暴行が犯罪でなくなる事はありません。

法律の話です
「義務を果たさない者の権利は保証しなくて良い」

相殺法?
答え:(
「権利を保証しないのは犯罪。義務を果たさないのは犯罪。だから権利を保証しないのは犯罪ではない」にはなりません。

例えば犯罪者の権利を保証しなくてもいいなら裁判も受けられなくなります。


アメリカ系日本人 「北海道の銭湯が外国人の入浴を拒否したのは人種差別です」

在日インド人 「差別はおおげさです。なぜならその問題があるのは北海道だけだからです。私は関西に15年住んでいて温泉にも銭湯にも行きますが断られたことがありません。だから何の問題もありません」

答え(「北海道の銭湯は問題あり。関西の銭湯は問題なし。だから北海道の銭湯は問題なし」にはなりません。ついでに関西で拒否されないならば北海道以外では拒否されないとも言えません。



■別パターン
「AかつBならZである。AかつCならZでない。したがってAかつBならZでない」
なるほどわからん。

具体例

A氏 「自衛隊にはイジメがある。これは問題だ」
B氏 「A氏は自衛隊の悪い面ばかりをあげつらっているが自衛隊にも良い面がある。例えば震災時の救助活動がそうだ。(言外の意:これ以上自衛隊の批判をすべきでない)」

問題は解決していません。A氏の発言は自衛隊の総評ではなく、自衛隊内のイジメ問題について述べたものです。

B氏の論理構造
前提1.自衛隊かつイジメならば問題である。
前提2.自衛隊かつ救助活動ならば問題でない。
前提1と2ゆえ.自衛隊かつイジメならば問題でない。(結論) ←違う

前提2は前提1を否定するものではありません。

A氏 「インターネットは誹謗中傷の問題を抱えている。ゆえにインターネットには危険な側面がある」
B氏 「でもインターネットには社会に利便性を提供している側面もある。ゆえに危険とはいえない」

B氏の論理構造は? 答え↓
前提1.ネットかつ中傷ならば危険である。
前提2.ネットかつ利便性ならば危険でない。
前提1と2ゆえ.ネットかつ中傷ならば危険でない。(結論) ←違う


次は難しいぜ

A氏 「こんにゃくゼリーで窒息死する事故が起きたので販売を規制すべき」
B氏 「自動車でも死亡事故が起きてるけど販売を規制すべきとはならないので、こんにゃくゼリーも規制しなくていい」

B氏の論理構造
前提1.こんにゃくゼリーかつ死亡事故なら規制すべき。
前提2.自動車かつ死亡事故なら規制すべきでない。
1と2ゆえ.こんにゃくゼリーかつ死亡事故なら規制すべきでない。 ←違う

論理構造が他の二つの例と同じである点に注目しましょう。A氏は死亡事故が起きたものはすべて規制せよと主張したのではありません。死亡事故とこんにゃくゼリーの組み合わせのときだけです。

なぜかというと、こんにゃくゼリーと自動車では規制に伴うデメリットが違うからです。こんにゃくゼリーならおやつなので代わりが利きますが、自動車は代わりが利かないので生活に与えるデメリットが大きいわけです。

似た例では、銃も包丁もそれを使って違法に人を殺す者がいるのに、包丁だけは規制されません。それは無くなったときのデメリットが大きいからです。

これらは全て個別にメリット・デメリットを比較すべき論題です。

だから例えばB氏に、「レバ刺しは食中毒死で規制されただろ、だから自動車もこんにゃくゼリーも規制すべきだ」と反論するのは無意味です。

あなたがA氏だとして、もしB氏が「じゃあ自動車が走ってる事についてはどう思ってるんだ!?」と質問してきたら、それに付き合ってしまうと完全に別の論題になってしまうので気をつけましょう。


さて、お待ちかね相手より不幸なやつを引き合いに出して後ろめたくするやーつ

ジャスティスフェミニスト 「学歴差別を嘆く男共の甘えっぷりには吐き気がする。日本では女性差別のほうが遥かに深刻な問題であり、それに比べれば学歴など誤差に過ぎない。男共よ、恥じらいもなく贅沢を叫ぶのはやめろ」


うぜえwww

でも元々の問題は解決していません。これが通るなら例えば

「女性差別を叫ぶ日本人を見ると甘えていると思う。エイズ孤児のほうが遥かに難易度ベリーハードであり、日本人に生まれた時点で性別など誤差に過ぎない。よって女性差別については検討する必要はない」


(´・ω・`)「家畜に生まれる方が遥かに無理ゲーなので人類に生まれた時点で・・・」

これを通さなきゃいけなくなって一番不幸な奴がチャンピオンの栄冠に輝く。

「女性差別は問題である。私の価値観ではエイズ孤児はより大きな問題である。だから女性差別は問題ではない」にはなりません。

1の問題に対して10の問題を引き合いに出しても1は0にはなりません。1に言及してはならないと感じるのはあれだ錯覚だ。

(補足:この例を見て家畜は関係ないと思うかもしれませんが、どこまでが区別でどこからが差別であるかは個人の価値観により異なります。例えばベジタリアンは家畜を殺すのは不当だと思っています。)


次は家庭問題を抱える保護者の会、実話らしいよ

A「うちの子が引きこもってしまって・・・」
B「うちの子は非行に走ってしまいまして・・・」
C「うちの子は去年交通事故でなくなりました」
A・B「・・・・・・」

改善すべき問題は立ち消えていないし解決もしていない。
Cがいる理由は謎。

アメリカ系日本人 「北海道の銭湯が外国人の入浴を拒否したのは人種差別です」

在日ゾマホン 「あなた方の国、アメリカとかドイツとかのほうが人種差別が一番ひどいんですよ。例えば黒人だからこの学校に入れないという事は今までにたくさん!ありました。黒人だから!この会社には入れないという事はどこにも書いてない!書いてないけど実際は今まで存在してる!今年、2001年になっても!!黒人だから!!あなた方にお願いしたいのはこの事件を通してアメリカ合衆国やヨーロッパの国々における人種差別について本当に!何か!行動をしてください!!そんなに恐ろしい人種差別を!!止めるように!!行動を!!起こしてください!!そういう事!!以上!!!」

答え(落ち着け



■相殺法ではないケース
自己矛盾の記事でも書きましたが、上流に共通の前提があるせいで矛盾が起きる場合は相殺法ではありません。

A氏「児童ポルノ禁止法は表現の自由に抵触している。表現の自由に抵触する法律は全て廃止すべき。したがって児童ポルノ禁止法を廃止すべきである」

B氏「それだと刑法の名誉毀損の条項も表現の自由に抵触していることになる」

A氏「確かにそうだが」

B氏「すると名誉毀損も廃止すべきだということになる」

A氏「それには同意できない」

B氏「ならば矛盾する」

「表現の自由に抵触する」がデメリットの一つとして挙げられたのではなく、“全て廃止”の文言が入っていることで該当する法律に例外なく適用すべしという意味になっています。なのでこれを撤回しないと矛盾します。

他の例

ナチスマン 「障害者には生産性がない。生産性のない者は全て処刑すべき。だから障害者を処刑すべき」

聖者マン 「生産性のない者を全て処刑すべきなら、老人も処刑しなければならない。自分や知人が年老いたり、もし事故で障害者になったら立場が逆転するではないか。ゆえにデメリットが上回る」

社会保障の根拠ですね。


■このケースは相殺法

「Aだけ批判してBを批判しないのは矛盾だろ」

共通の論理構造と前提をもつAとBがあるとき、Aのみを批判してBを「批判すべきでない」と主張するのは矛盾ですが、Aのみを批判してBに言及しない行為は矛盾ではありません。

なぜなら、発言者は共通の論理構造と前提をもつ全ての物事を批判する義務を負うわけではないからです。またそうした考え方は労力の観点から見て現実的ではありません。

だから例えば、女性差別に反対する一方で男性差別に言及しない行為は矛盾ではありません。

A氏 「私は差別に反対なので女性差別にも反対です」
B氏 「女性差別に反対するなら男性差別にも反対すべきだろ」

A氏 「男性差別が良いとは言わないが今その話はしていない」←矛盾でない
A氏 「男性差別はしても良いが今その話はしていない」←矛盾



誤った類推

類推は主張のわかりにくい部分を、相手が良く知っている似たモノに喩(たと)えることで分かりやすくする方法です。ただし共通点があっても完全に一致するとは限らないので、類推を置くだけでは立証はできません。

「議論の勝敗は素人には判定不可能。ボクシングの判定と同じだ」

確かにそれっぽい。だがこれはどうかな

「じゃんけんの勝敗は素人には判定不可能。ボクシングの判定と同じだ」

いや違うだろ可能だろ。
このように喩えを使うと分かりやすくなるけど、根拠の代わりにはなりません。

(車がスタックして進まないときに)
「押してダメなら引いてみろ、恋愛と同じだ」

正しいかもしれないけど恋愛はきっと関係ない。

ジャスティスマッチョ 「心の打たれ強い子を育てるためには体罰を使いすぎても、逆に全く使わなくてもダメだ。身体の免疫機能だって不潔な環境で育てばアレルギー体質になるし、無菌室で育てば弱くなる。それと同じ理屈だ」

この主張には隠れた前提「免疫機能のメカニズムを説明すれば、心のメカニズムを説明したことになる」がありますが、関連性を示す根拠は書かれていません。「似ているから同じだろう」という発想です。

「共産主義の唱える公平とは、ライオンにもウサギにも同じように草を食べさせるという意味だ。しかし真の平等とはウサギには草を食べさせる代わりに、ライオンにはそのウサギを食べさせることだ」

なるほど、わからん。※ほんとにいます

他の例

「スポーツは理論を学ぶだけでは上達しない。実践経験だけでも悪い癖がつく。よってスポーツには理論と経験の両方が必要である。議論もそれと同じだ」


「理論を知る論理学者が詭弁に騙されないのは、丁度手品師が超能力に騙されないのと同じである」


「試合でなら競技ディベーターの方が論理学者よりも強いだろう。それは空手で言えば型の選手よりも組手の選手の方が実戦では強いのに似ている」


「実戦では知識の数よりも、相手が誤謬を発した瞬間に指摘する瞬発力が求められる。格闘技で言えば技の知識よりもチャンスの瞬間に技をかける技術の方がより重要であるように」


「ところで作者は詭弁軍団をノールールで完封できるだろうか? いや、誤謬論は言ってみれば合気道の様なもの・・・・・・そう、ディベートファンはもうそろそろハッキリと言うべきなのですッッ!! 達人は保護されているッッッ!!!!




誰だッ!?!?


なんだ幻聴か安心。


(´・ω:;.:... サー 



ではこの誤った類推の正体は何か? まずはこの類推を見てほしい

ジャスティスフェミニスト 「人身売買は人間の品評会であり、かつ人権侵害である。美人コンテストも人間の品評会である。したがって美人コンテストは人権侵害である」

これは前にやった4個概念の虚偽だ!

論理構造
前提1.人身売買は“人間の品評会”かつ“人権侵害”である。
前提1ゆえ.人間の品評会は人権侵害である。...(A) ←誤謬
前提2.美人コンテストは人間の品評会である。
前提2とAゆえ.美人コンテストは人権侵害である。...(結論)

美人コンテストと人身売買の間には「人間の品評会」という一部の類似点しかないのに一気に人権侵害まで飛躍しています。

しかし美人コンテストの方は本人の意志で参加しており人身売買も行われないので、人権侵害の定義には普通は当てはまらないでしょう。

他の例はどうでしょうか?

前提1.ボクシングには“勝敗がある”かつ“素人には判定不可能”である。
前提1ゆえ.勝敗があるならば素人には判定不可能である。(A) ←誤謬
前提2.じゃんけんには勝敗がある。
前提2とAゆえ.じゃんけんは素人には判定不可能。...(結論)

なんか無理矢理くせぇな! まいっか

反例をあげたつもりが類推である例

「君はいじめに遭っているそうだな、だが生きることを諦めるな!じっと待っていれば嵐は去る!」


論理構造
隠れた前提1.嵐は困難である。
前提2.嵐は去る。
前提1と2より.困難は去る。...(A) ←誤謬
隠れた前提3.いじめは困難である。
前提3とAより.言外の意:いじめは去る。...(結論)

めっちゃ隠れとる・・・・。
嵐は比喩であって根拠そのものではないので全ての困難が去るとは限らない(白目

誤った類推が全て4個概念の虚偽だけで説明できるかは分かりませんが、きっと誤った類推ならどこかに誤謬があって論理的に導けないはずです。

ただし実際の議論では論理構造を巧妙に隠す言い方をされる可能性が高いので即座に誤謬を指摘するのは難しいと思います。例えば

A氏「美人コンテストを認めるってことは、お前は人身売買も認めるのか?」
B氏「いや、そうは言っていない」
A氏「同じことじゃないか、どこが違うのか言ってみろ。」

この会話でA氏は違いを立証する責任を相手に投げていますが、例として出したのはA氏なのでA氏が共通点を説明する必要があります。

B氏「どこが同じなのか言ってみろ」
A氏「美人コンテストは人間の品評会であり奴隷制度の人身売買の延長で人権侵害行為にあたる」

「延長で」という表現では何と何が「ならば」と「かつ」でつながっているのか分かりにくく、すぐに論理構造を抜き出すのは難しい。なので「類推を使わずに説明してください」と言えば充分だと思います。本当に正しいならば類推抜きで説明できるはずです


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■根拠の正しさを論証するための例示は誤った類推ではない・・・はず。

抽象的な例
「AはB、BはC、ゆえにAはCである。これはDがBゆえにCであるのと同じ構造である」
なるほどわからん。

具体例

A氏 「フジテレビの番組は民族的な偏見を視聴者に植えつけるものであり許容できない」

B氏 「価値観が合わないなら見るなよ」

A氏は番組が世論に与える影響を危惧しているので、A氏が番組を見ないようにしても問題は解決はしません。これはメディアが一斉に戦争を煽れば、ある個人がそれを見ていない事とは全く無関係に戦争が始まる恐れがあるのと同じ理屈です。

過去の実例としては、ルワンダでラジオを利用した大衆扇動が原因で大量虐殺が引き起こされた件があります。こうした時ある個人がラジオを聞いていなかったとしても、それとは無関係に虐殺が起きるのです。


本題のほうの論理構造
前提1.民族的偏見を煽る番組は世論に影響する。
前提2.世論に影響するなら見るのをやめても解決しない。
前提1と2ゆえ.民族的偏見を煽る番組は見なくても解決しない。

過去の事例のほうの論理構造
前提1.虐殺を煽るラジオは世論に影響する。
前提2.世論に影響するなら聞くのをやめても解決しない。
前提1と2ゆえ.虐殺を煽るラジオは聞かなくても解決しない。

この場合は、根拠そのものである前提2の正しさを論証するための例示として書いているので、類推ではないはずです。まあ書きながら考えてるから合ってるかどうか分からんなー


【まとめ】


みんな!オラにちっとつ元気を分けてくれ!ツイート

関連サイト(論点のすり替え)
Wikipedia>詭弁>論点のすりかえ
Wikipedia>論点のすり替え
詭弁術の考察>幻惑論証
名言と愚行に関するウィキ>大衆論法:論点ずらし
名言と愚行に関するウィキ>大衆論法:利便性と真理性の恣意的混同
名言と愚行に関するウィキ>みんながそんな考えを持ったら
Plain_khさんの知恵ノート>知らなきゃ損する詭弁術その1「論点のすり替え」
全国教室ディベート連盟>なんか変だぞ、このプラン!? 肯定編
全国教室ディベート連盟>プランが変だったらどうすればいい?
今したいのはそんな議論じゃない――論点のすり替え|カイゼン!思考力

関連サイト(藁人形論法)
Wikipedia>詭弁>ストローマン
Wikipedia>ストローマン
そんな話だっけ?――ストローマン|カイゼン!思考力

関連サイト(相殺法)
詭弁術の考察>相殺法(強弁)
詭弁術の考察>相殺法(詭弁)
Iwatamの個人サイト>正論と論理の飛躍

NHK高校講座 ロンリのちから 第19回 ずれた反論(動画)

関連サイト(誤った類推)
Iwatamの個人サイト>議論のしかた>詭弁
その例えは適切?――不適切な比喩|カイゼン!思考力

関連サイト(論理構造と前提が共通なら論点のすり替えでない)
その話はしていない - 名言と愚行に関するウィキ
それとこれとは別 - 名言と愚行に関するウィキ
(議論記録4)大衆の思想 - 名言と愚行に関するウィキ



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